花のれん
勉強会のNさんが山崎豊子の古い小説を貸して下さった
朝ドラの「わろてんか」の話題から
「花のれん」も「わろてんか」も
Nさんから見れば小説「花のれん」は
主人公の多加さんの苦労が並大抵ではないところから
テレビの「わろてんか」は甘いと感じておられる
「花のれん」は日露戦争が終わり5年後の頃から始まる
米屋の娘多加が呉服屋の吉太に見染られて息子吉太郎に嫁ぐ
しかし吉太が亡くなって後は吉太郎に商才がないために
小説は最初から借金取りに頭を下げる多加の話に始まる
吉太郎は呉服屋ではなくて芸事や寄席に関心が強い
道頓堀の芝居茶屋に通い詰めて散財するのだが女狂いをしている訳ではない
芸事が好きでたまらないのだ
そこで多加は「芸人さんと一緒に居て商売になる寄席しはったらどうだす」と
吉太郎にすすめる
「あんさんが一番好きなことを一番本気になってしはるのやおまへんか、
やるからには本気でやっておくれやす」
その後吉太郎は愛人宅で亡くなる
多加は一人息子の久男をほとんどお梅どんに見させて寄席を切り盛りする
芸人集め、花菱亭の店を買い取り、お金の工面にも苦労する
ど根性物語である
最期は芸人さん達に看取られる
その場に息子の久男はいない
「久男が・・・、還って来たら頼むぜ・・・」
しんどくなるような小説だった
1912年頃に吉本興業は創業して
今は押しも押されぬ笑いの殿堂である
確かに面白い楽しい話は元気をくれる