ばななさん

小さな幸せ46こより

 

ばななさんの両親が亡くなったとき、

ふたりの友人に同じことを言われたと言う

「今はほんとうにつらいと思うけれど、

あるときから、亡くなった人と自分は共に生きているとわかるようになる

実感としてここにいると、思うようになる

自分の中にいるという感覚に近い

あまりにも今いっしょに、思い出とかではなくまさにここにいる感じがするから淋しくなくなる

時間がたてばたつほど、共に生きているということが

理屈ではなくわかるようになるものなんだ」

ばななさんは

「これはほんとうに体験しないとわからない類いの感覚に違いない」と思い、

そのまま胸にしまっておいた そうだ

 

 

「ひょんなことから、両親といつも通っていた西伊豆の旅館を訪ねることになった

もう5年くらい行っていなかった場所だった

もっともっと淋しい気持ちになるはずだった

それが

着いたとたんに海に山に温泉にそして宿や宿の人たちに

温かく迎えられているのを感じた

それに伴って両親が若いときの姿でいっしょににこにこと喜んでいる感じが

胸にせまってきた

それは私の上でもなく隣りでもない、胸の奥から両親の気配が

湧きだしてくるような感じなのだった

またここに来ることができたことを両親はとても喜んでいる、と確信できた

それは思い出の中の両親ではなかった。

私と共に生きている両親の魂みたいなものが、たった今喜びを伝えてきている、

そうとしかいえない感覚だった

思い過ごしの類いでもなく、そうであってほしいというものでもなく、

身体感覚として生々しく感じられた」

 

私も、亡くなった夫や父母の魂と共に生きている と思っています